「頑固、無欲、年とともに魂の宿るワイン」
「追う者の有利」と、スポーツなどでは言われる事が有りますが、幼なじみでありワイン造りの先輩である、ラディコンやカステッラーダやグラヴナーを追う事となったダリオ・プリンチッチの目覚ましい進化は、我々にとっても驚きとともに、頂点を目指しての更なる今後への期待を膨らませる事となっています。
古くから白ワインの名醸地として名高いフリウリ州の中でも、ゴリツィア丘陵地帯の最北端、オスラヴィアには小さいが個性的な、かつ最先端をゆく造り手たちがひしめいています。
グラヴナーをはじめ、ラディコン、カステッラーダといった自然派の造り手たちが、ゆるりとカーブを描きながらスロヴェニアの国境へと登ってゆくオスラヴィア通りの両側に並んでおり、その道を入るとすぐにダリオのカンティーナ(醸造所)があります。
もうすでに日本でも知名度を得ている他の造り手と比べ、彼はずっと兼業農家であったため、本格的にワイン造りを始めたのは、十五年ほど前になります。
この十五年間は、農薬や化学肥料を一切畑に入れておらず、自然な栽培から質の良いブドウを得ています。
ワイン造りに対する考え方も、他のつくり手の影響を受けながら追いかける形となり、自然酵母による発酵、醸造中の二酸化硫黄の無添加、白ブドウのマセラシオン(醸し)などを実践しています。
そし、そんなダリオのワインを我々が日本に輸入を開始したのが、2000年ヴィンテージでした。
その頃の彼のワインは、マセラシオンをした白独特の濃密さと旨味を持っていて、飲めば飲むほど美味しくなる、不思議な魅力を持っているというのが、最初の印象であったと覚えています。
彼は、正直なところ頑固で、見た目にも意志の強さを感じさせる風貌ではありますが、仲間達より後発である事を謙虚に受け止め、一歩一歩前進した結果、年を経るごとにワインは進化し、目を見張るものとなっています。
例えば、年々色も味も年々濃くなっているにも関わらず、ワインが軽くなっているように感じられます。
そしてバランスも良く、常に前向きな彼の魂が、年々ワインを魅力あふれるものに仕上げてくれているように思えるのです。
彼のメインとなる白ワインは、大樽で品種ごとにマセラシオン(皮を漬込んだまま発酵)を4日~2週間行い、熟成には古い小樽を使っています。
勿論、このプロセスの間は、二酸化硫黄無添加。
そして、マセラシオンによって皮の色素がワインに移り、褐色を帯びた色合いになります。
およそ白ワインとは呼べない色調にもかかわらず、ワインは健全そのもので、酒質がとてもしっかりとしており、凝縮された旨みと果実のエキス分が飲み手の心を揺さぶります。
また、抜栓後の時間持ちもよいので、栓をして冷蔵庫などに保存しつつ、数日間にわたって繰り返し楽しむ事ができます。
カベルネやメルローなどの赤ワインも、驚くほど濃厚かつピュアな味わいで、特にこの冷涼な気候の場所で、まったく青臭さのない完熟したカベルネは、完全に常識を覆す存在となっています。
その他、自宅で営んでいる居酒屋用のハウスワインとして、少量造っていた白ワインと赤ワインを、“ヴィーノ・ビアンコ” “ヴィーノ・ロッソ”として、日本向けだけに特別に瓶詰めしてくれています。
最近ではイタリア国内でも注目を集めているため、今後は日本向けの数量の確保が課題となってきそうです。




