グラーヴの基準から言えば、オー=バイイは比較的新しいシャトーである。
しかし、その歴史は興味深いものだ。
1872年の時点でオー=バイイの第2代目の所有者であったベロ・デ・ミニエール氏は、明らかに、このワインの質が改善されたのは、たっぷりとコニャックを加えたためだと信じていたようだ。
樽をすすぐ際に使われたこの蒸留酒が、樽の中に残っていたのである。
現在、ブルゴーニュ・ワインをつくる人々が、弱いヴィンテージを強化するためにオー・ドゥ・ヴィーかブランデーを用いるという噂を耳にすることがあるが、ベロ・デ・ミニエール氏は自分のワインの「特別な」成分を誇りとしていたのであった。
サンデルス一族が所有者となったのは1955年のことである。
彼らによれば、ダニエル・サンデルス(ベルギー出身のワイン愛好家)が1945年のオー=バイイの出来栄えのよさに驚き、調査をした後に、このシャトーを購入することに決めたのだという。
彼の息子のジャンは、この近くのシャトー・クールボン(好ましく、ドライな白のグラーヴをつくっている)に在住しているが、彼が父親の死後、このシャトーを管理してきた。
そして1998年7月に、ロベール・G・ウィルメールに売却された。
1960年代初めより、オー=バイイの品質は一貫しないものであった。
1961年ものは並外れてすばらしく、1964年ものもおいしいワインであるが、こうした優れた品質が、長い凡庸(ぼんよう)な時期を経て回復し始めたのは1979年以後のことであった。
収穫されたブドウの30%までをセカンド・ワインへまわしたこと、新樽の使用を55%に増加させたこと、より熟したブドウを得るためにあえて収穫を遅くしたことなどがすべて、1980年代になって、より優れたオー=バイイを生み出すという成果に結びついた。
若いうちは評価するのがなかなか難しいワインである。
なぜかは分からないが、いくぶんやせていて、軽いものの、瓶詰めした後は重みと深みを増すようなのだ。
私はこの点をジャン・サンデルスに尋ねてみたのだが、彼は、特に瓶詰めする前に、ライターたちに印象づけるようなワインをつくることには興味がない、と答えた。
彼は、畑のブドウの木が極めて古く、また絶対に濾過(ろか)処理を行わない(今日のボルドーでは稀(まれ)である)伝統的なワインづくりのスタイルが、すべての魅力と特徴が明らかになるまでに時間を要するワインを生み出すのだろう、と考えている。
オー=バイイは、近隣のシャトーであるフューザルほどの大きさや力強さは持ち得ないだろうが、最高のヴィンテージにおいて格別にエレガントである。
講談社 『BORDEAUX ボルドー 第3版』
コメントいかなる理由であれ、現在熟成しているこの1978年は、果実味に富んでかなり魅力的ではあるのだが、決して1979年もののような深みと特徴を備えたことがない。現在はいくらか琥珀(こはく)色からオレンジ色がかり、ハーブのような、オークのような香りを漂わせる。柔らかで目のゆるんだ味わいがあり、フィニッシュはなめらかである。講談社 『BORDEAUX ボルドー 第3版』
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