「微笑み一杯のカブトムシ」 ル・スカラベ
太陽の恵み豊かな地中海の沿岸、南フランス ルーション地方のペルピニャン南西に「ル スカラベ」という小さなドメーヌがあります。
2007年に始まったばかりの新しいドメーヌですが、期待の持てるワインを早々に生み出しています。
オーナーであるイザベル・フレールは、笑顔が印象的な、魅力溢れる女性醸造家です。
たった一人でワインづくりに取り組む彼女は、あのエステザルグ協同組合の元醸造長で、フーラール ルージュのオーナーであるジャン フランソワ ニックに師事した門下生の一人です。
控えめな性格の彼女は、恥ずかしそうに、伏し目がちに話をすることが多いのですが、ひとたびワインの話になると別人のように饒舌(じょうぜつ)になり情熱的に話し続けます。
そのあまりのギャップに驚かされることもしばしばです。
そのワイン造りにかける情熱は、ワインの味わいに如実に現れており、芯のある果実味となめらかな口当たり、華やかな芳香など、彼女の個性がグラスの中から見て取れます。
まだワイン造りを始めて日も浅く、様々な試行錯誤を繰り返している段階ですが、新しいアプローチを取り入れ日々進歩していき、ワインの味わいも刻々と変化しています。
1年目よりも2年目、そしてさらにその先へと成長していくことが期待される生産者です。
ドメーヌでは、カニグー山を遠くに望むグラニットとシストが合わさった土壌の畑を5.7ha所有しており、70年を越えるカリニャンを始め、シラー、グルナッシュ ブラン、グルナッシュ グリなどを栽培しています。
またグルナッシュが植わっている畑を恋人であるステファンから借りており、醸造所も彼と共同で使用しています。
ステファンはパリで写真家やミュージシャンをしていた青年なのですが、近年この地に移り住んでワイン造りを始めたといいます。
ワインはシラーとグルナッシュ グリをブレンドした、ノン デゴルジュのロゼ ペティヤンを始め、赤ワインが3種類と極少量の白ワイン(初年度日本未入荷)をつくっています。
ファーストヴィンテージである2007年は、全ての赤ワインの発酵時にマセラシオン カルボニック(ガス充填)を行っていたのが、2年目は一部のキュヴェにしか行っておらず、その時のブドウの状況に合わせて、フレキシブルに醸造の判断を行っています。
発酵にはプラスチィックキューヴとステンレスタンクを用い、熟成には一部に小樽も使用しています。
いずれのワインも好奇心旺盛なイザベルのあふれんばかりのパワーが詰まっており、飲む人に元気を与えてくれるワインです。
コメント70年代に流行ったアメリカのTVドラマ、その中にカンフーの先生がでてくるのですが、その一番弟子のあだ名が「ル プティ スカラベ」でした。イザベルも自身の大先生であるジャン フランソワ ニックをドラマにならって「ラオ ツー」と呼んでおり、ドメーヌ名も「ル スカラベ」であることからこの名前を付けました。なめらかな飲み口と華やかな果実の香り、少し芯のある黒い果実の旨みがあります。ボリュームもありますが、非常にバランスの良い味わいです。




