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iwine.jp 【ワインメーカー来日インタビュー第二弾 テッド・レモン氏 Part 1】

 

 

            

 

 

 

2010年6月15日、東京丸の内のフォーシーズンズ東京・丸の内のekki BAR & GRILLにて、アメリカ人として初めてブルゴーニュのドメーヌ「ドメーヌ・ギ・ルロ」で醸造家兼ヴィンヤード・マネージャーとして活躍した「リトライ」のテッド・レモン氏と、6月に西麻布にオープンしたばかりのレストラン、オルタシアのヘッド・ソムリエ千葉和外氏を迎えて対談を行いました。
iwineのインタビュー第2弾となる今回は、カリフォルニアにおける単一畑やテロワールを意識したワイン造り、そしてオーガニックやビオディナミについてテッドと千葉様にお話を伺いました。

 

 

テッド・レモン
フランスのディジョン大学で醸造学の学位を取得し、アメリカ人として初めてブルゴーニュのドメーヌ「ドメーヌ・ギ・ルロ」で醸造家兼ヴィンヤード・マネージャーとして活躍したテッド・レモンが立ち上げたワイナリーです。アメリカ帰国後シャトー・ウォルトナーの初代醸造家として名を馳せた彼は、優れたシャルドネとピノ・ノワールはブドウが完熟できる限界の冷涼な海岸線沿い(リトライ)で育つと信じ、有機栽培やバイオダイナミック農法を取り入れながらエレガントなテッド・レモン・スタイルのワインを造っています。

千葉 和外
1972年6月生まれ
92年 都内フレンチレストランに入店。ウェスティンホテル東京を経て、カリフォルニア州ナパヴァレーカレッジ修了後、「オーベルジュ ド ソレイユ」に入店。07年帰国後、西麻布「サイタブリア」シェフソムリエとして2年半勤め、現職に至る

 

 

マイケル・クー (iwine) : 今日は集まってくれてありがとうございます。テッドは千葉さんと会うの初めてだよね。千葉さんは6月に西麻布にオープンしたレストラン、オルタシアのヘッド・ソムリエとして活躍しているんだ。アメリカでソムリエをしていた経験もあるんだよ。

 

武村嘉彦 (iwine) : テッド、千葉さん、よろしくお願いします。じゃあ、テッドの来日と千葉さんとの出会いに乾杯しましょう。今日は2007年のリトライ チャールズ・ハインツ シャルドネを選びました。

 

全員 : 乾杯!

 

テッド・レモン : 千葉さんの新しいレストランはどんなレストランなの?

 

千葉和外 : フレンチ・レストランです。でも、ワイン・リストの80%以上がアメリカ産のワインという、一風変わったコンセプトのお店です。

 

テッド : なるほど。

 

千葉 : なのでワイン選びは大変です、笑。やはりフランス料理のお店にいらっしゃるお客様は、フランス産のワインを飲むことを前提としていますから。ですから、アメリカ産のワインでフランスっぽいスタイルのワインを載せています。

 

テッド : フレンチでもどんなタイプのフレンチなの?

 

千葉 : モダン・フレンチになります。2つのセット・メニューと、アラカルトのメニューもご用意しています。

 

テッド : シェフは日本人?

 

千葉 : はい、そうです。世界各国の様々な食材を使っています。

 

テッド : 2007年に僕が日本に来た時は、フレンチ・レストラン自体があまり人気なかったけど、最近はどうなの?

 

千葉 : そうですね、でも最近はモダン・フレンチという、あまりバターを使わない新しいフランス料理のカテゴリーがあるので大丈夫そうです。でも、伝統的なフランス料理は相変わらず根強い人気があるみたいですね。モダン・フレンチはフランス料理じゃないという方も多くいらっしゃいます。以前、サイタブリアでソムリエをしていた時も、周りからはフランス料理店で働いていると思われていなかったですし。

 

テッド : そうなんだぁ。客層は?

 

千葉 : ほとんどが日本人のお客様です。ブロガーの方々もよくいらっしゃいます。

 

武村 : お料理とサービス、そしてワインリストが充実していれば、レストランがどんなカテゴリーに入るかは、どうでもいいと思うんですよね。ところで、テッドはブルゴーニュの有名ドメーヌ、ルーロにいたことがあるけど、いつからいつまでルーロでワインを造っていたの?

 

テッド : 1982年の秋から1984年の終わりまでだよ。

 

武村 : 82年を除いてヴィンテージには恵まれなかったんだね、笑

 

テッド : そうだね、でも82年も収穫当初はダメなヴィンテージだと思ったんだよ。83年は難しかった。84年なんてもっと最悪だったよ、笑。

 

クー : アメリカに戻って来た理由は?

 

テッド : 2年間という短い間だったんだけど、自分が出来る事はやったという気持ちになったんだ。だからフランスのブルゴーニュ以外の産地もいろいろと下見したんだけど、あまり気が向かなくてね。だから、カリフォルニアはどうなのかと興味をもったんだ。

 

武村 : ソノマ・ヴァレーを選んだきっかけは、シャルドネとピノ・ノワールに最も適した気候/土壌だと判断したから?

 

テッド : 1992年にハイディ(妻)と一緒にリトライを設立するちょっと前まで、テイスティング・グループに参加していたんだ。そのテイスティング・グループは、ブルゴーニュ産、カリフォルニア産、そしてオレゴン産のシャルドネとピノ・ノワールのみをブラインドで試飲するグループだったんだけど、それがものすごく勉強になったんだよ。例えば、ワインのフライトの中で、ドメーヌ・デュジャックのワインを当てたり、ジュヴレ・シャンベルタンのプレミエ・クリュのコンボットを当てたりとか・・・すごく楽しかった。そのテイスティング・グループにはスティーヴ・キスラー(キスラー)、ヘレン・ターリー(マーカッシン)、バート・ウィリアムス(ウィリアムス・セリアム)、トニー・ソーター(ソーター)達も参加していたんだけど、今ではアメリカを代表とする醸造家たちの集まりだったんだ。

 

武村 : すごい・・・有名人ばっかりだね。

 

テッド : そう。彼らと一緒に5年間くらいテイスティング・グループをやっていたんだ。そこで様々なワインをテイスティングして学んだことが、自分が造りたいワインに一番適している土壌はカリフォルニアのソノマ・コーストとアンダーソン・ヴァレーだってこと。ポテンシャルがある場所だと思ったし、世界に通用するシャルドネとピノ・ノワールが造れると確信したんだ。

 

武村 : ジョッシュ・ジェンセン(カレラ)みたいに石灰岩に拘りはなかったんだ?マウント・ハーランとかは考えなかったの?

 

テッド : 実は1982年にブルゴーニュに行く前に、カレラでジョッシュの収穫を手伝ったんだよ。昔はシャローンのワインもたくさん飲んだよ。カレラもシャローンも大好きなワインだけど、あの辺りにはあまりピンとこなかった。これもテイスティング・グループで学んだ事なんだけど、カリフォルニアでシャルドネとピノ・ノワールを育てるのには石灰岩が必ずしも必要じゃないということ。石灰岩以外の土壌で造られたワインでも、おいしいのはたくさんあるんだよ。

 

武村 : へ〜。拘るのも大切かもしれないけど、最終的にはワインがおいしいかおいしくないかだからね。

 

テッド : 最近、よく聞くジョークなんだけどね、『石灰岩から造られているワインなのに美味しいね』って、笑。

 

千葉 : 石灰岩とは関係ないかもしれないけど、私はリトライのメイズ・キャニオン(日本未発売)が大好きなんですよ。

 

テッド : そうなの?ありがとう。

 

千葉 : メイズ・キャニオンはよくお客様にお勧めするんですけど、ほとんどのお客様はフランス産のワインだと勘違いされるんです。

 

クー : じゃ〜、今飲んでるチャールズ・ハインツはどう?ブラインドでテイスティングしたらカリフォルニアだって分かる?

 

千葉 : 絶対に分かるよ。これは、典型的なアメリカ産のフランス・スタイルのワインだね。酸味も豊かだし、フレッシュ感もある。カリフォルニア・ワインということに間違いはないけど、フランス・ワインとはちょっと違う。

 

クー : 両方の良いところを取り入れているワインだね。

 

千葉 : そうそう。

 

テッド : メイズ・キャニオンとティアリオットは霜障害のリスクが高くて、ブドウの収穫量が50%も減少してしまう年があるんだ。

 

千葉 : リトライのワインといえばフレッシュ感だけど、どうやってこの爽快感を出しているの?

 

テッド : 一言で説明するのは難しいけど、うちは収穫時期が他のワイナリーと比べて早いということな。それから、ここ4〜5年は、熟成に10%程のステンレスのタンクを使用していること。これによって、味も引き締まってくるし、ワインがいきいきしてくるんだ。それから、僕が一番造りたいワインが、そういうワインだから、それを常に意識していることが大切だよ。評論家が好むワインを造るのではなくて、自分が一番のリトライ・ファンでありたいからね。

 

武村 : へ〜。テッドは単一畑のワインをいくつもリリースしているけど、造り方は畑によって違うの?

 

テッド : ブドウが栽培される畑が違うだけで、造り方は全て一緒なんだ。

 

武村 : でも、ソノマ・コーストというAVA(アメリカ政府承認ぶどう栽培地域)は大きすぎる気がするんだけど。あそこまで大きいと天候も気候も様々でしょ?

 

テッド : これは僕の意見なんだけどね、AVAに関してはソノマよりもナパの方がテロワールを意識した区切り方をしているね。だから、リトライのワインにとって、個性を表すので大切なのはAVA名じゃなくて、畑の名前だね。

 

千葉 : ソムリエとしてお客様と接する時は、AVAのように個性を表す表記があるとワインの説明もしやすくなるんです。

 

武村 : ぶっちゃけたはなしなんだけどさぁ、最近はカリフォルニア・ワインの多くが単一畑に分けられて瓶詰めされているけど、大半は全部同じ味がする。むしろ、ブレンドしてしまった方が、結果的には良いワインが造れるんじゃないかと思うときもある。皆はどう思う?

 

テッド : 例えばなんだけど、インド料理を味わったことのないシェフに、インド料理を作ってくれと頼んでも本格的インド料理は作れないよね?それと同じで、アメリカのワインメーカーのほとんどが、ヨーロッパのワインをちゃんと理解していないんだ。だから、彼が造るヨーロッパ・スタイルのワインに期待を抱くこと自体、矛盾している。特にカリフォルニアのワイン業界は、テローワール(土壌、地形、気候、風土など、ブドウの生育環境)を意識したワインを造るよりも、評論家の点数を意識して造るワインの方が評価されるからね。テロワールを感じられるワインを造るということは、自然に任せて、ワインメーカーとしては手を加え過ぎないのが条件なんだ。でもアメリカ人は「いじる」のが好きな人種なんだよ、笑。

 

武村 : そうかもね、笑。でも単一畑はマーケッティング戦略でもあるよね。だって、単一畑が表記されているワインの方が高く売れるでしょ?

 

テッド : そうだね、それもある。単一畑のワインで、テロワールが感じられないワイン程、残念な物はないよ。

 

千葉 : でもブルゴーニュでは基本的にブレンドするのはタブーだよね。

 

武村 : 歴史があるからね〜。でもブルゴーニュでもドメーヌによっては、小さい区画の畑はブレンドして出荷するところが多いですよね。

 

 

 

  

 

 

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