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ニュージーランドワイン

ニュージーランド (New Zealand)

歴史と概要

 

ニュージーランドに葡萄の樹が上陸したのは1819年と言われている。隣国オーストラリアから北島のケリケリに持ち込まれた。その北島に初めて葡萄畑が出来たのは1835年、南島でも1875年にはワイン生産が始まった。ニュージーランドでも葡萄を広めたのはキリスト教だった。キリスト教ではパンはキリストの体、ワインはキリストの血と考えられており、ミサの時には必ずワインを用いる習慣がある。 キャプテン・クックに発見された島は、ヨーロッパ大陸でもそうだったように、キリスト教の布教と葡萄栽培という密接な関係を持ちながら国内に広がっていったのだ。 
1870年代以降、ワイン造りを本業とする人々、今で言うワインメーカーが現れた。しかし、20世紀初頭に制定された酒類製造販売規制が、ワイン産業の発展を妨げてしまう。

細々と続いていたワイン造りに弾みがつくのは、大量の酒が求められた第二次世界大戦中のこと。ワインの価格急騰は、家族経営だったワインメーカー達に設備投資のチャンスを与えてくれた。
ところが戦時中、儲け主義に走ったがためにワインの質が低下する。つまり需要に生産量を追いつかせるため、水を加えたり砂糖を加えたりした商品が販売されたのだ。驚くことにこの風習はほんの十数年前、1980年代初めまでまかり通っていたのだそうだ。

近代的なワイン醸造が始められたのは1973年になってからで、葡萄とワイン研究で有名なドイツ・ガイゼンハイム研究所のベッカー博士によりミュラートゥルガウの栽培を奨励されてからと言える。葡萄栽培とワイン造りは急激に広まったが、低品質なワインの大量生産はその後の悲劇を呼んだ。葡萄とワインの生産過剰を憂慮した政府は1985年に大英断を下した。「減反令」が公布され、一千万NZドルを投じ、全土の25%の畑から葡萄の樹を抜いてしまった。

生産量の減少は高品質ワインを生む良い結果となり、マールボローのソーヴィニヨン・ブランがコンテストで頻繁に賞を取るなど、ニュージーランド・ワインの評価が世界的に高まった。高品質ワインの産地は南島を中心に拡大し、わずか5年で、失われた面積に相当する新しい土地が開拓された。これにより、安価なワインの大量生産ではなく、優良な品種の本来の持ち味を引き出すことこそ、生産地を支える第一条件であることが証明された。1996年には原産地統制呼称法が成立し、ピノ・ノワール、メルロやシラーの導入、高級ワインへの亜硫酸無添加、スクリューキャップの定着など、わずか数十年で、次々と生産地を変え、様々な試みに果敢に挑戦するニュージーランド・ワインは、伝統的な旧世界のワインをしみじみと味わうこととは対極的な楽しみを教えてくれるような気がする。

個人のワイン消費量は30年間で10倍

この国のワイン産業の発展に重要な役割をはたしたのが、ワインを常飲するイタリアやギリシャ、クロアチアなどヨーロッパ大陸からこの地に移り住んだ人々である。彼らは消費だけでなくニュージーランド・ワインの質の向上に多いに貢献している。 1960年代、410万リットルだったワインの年間生産量は、1980年代前半までに5770万リットルに急増、驚異的な成長を遂げた。この頃から世界的にも注目を集めるようになり、オーストラリアやアメリカのワインメーカーがニュージーランドで葡萄栽培を始め、ニュージーランドのワインメーカーに資本参入するようになる。

ニュージーランド・ワイン協会の統計によると、成人一人当たりのワイン消費量は1960年代初頭の年間2本から、1990年代後半の年間21本へ10倍の伸びを示している。1989年に酒類販売法が改正され、スーパーマーケットでもワインを購入できるにようになったのが大きいことは言うまでもない。(参考:日本は2006年現在一人当たり3本の消費)

ニュージーランドで収穫される葡萄品種

ニュージーランド・ワインの赤白比率は約1:6となっており、圧倒的に白が多い。
観光土産で有名なキウイ・ワインですが、分類上はフルーツ・ワインであり、スティル・ワインには入りません。(葡萄もフルーツなのだけど・・・・ファンの方にはごめんなさい) 


白葡萄品種

 

ソーヴィニヨン・ブラン Sauvignon Blanc
ニュージーランド・ワインが国際舞台に登場したのはこの品種によって。国内では1974年に初めてワインが生産された比較的新しい品種だが、収穫高はシャルドネを抜いて第1位になった。
ニュージーランド産のソーヴィニヨン・ブランはその3分の2以上がマールボローで栽培されており、その飛び抜けた香りとあっさりとした風味で、1980年代後半から国際的評価を得るようになっている。ニュージーランドではステンレスタンクから直接ボトルするタイプと、樫の木の樽を使い発酵・成熟させるタイプの2種類が製造されている。後者は前者と区別されるために「Reserve Sauvignon Blanc」などとラベルされる. 


シャルドネ Chardonnay

 

収穫高一位だったが、近年ソーヴィニヨン・ブランに逆転されている品種。ニュージーランド人に最も人気のある白ワインだったわけで、1995年にイギリスで開かれた国際ワイン&スピリッツコンテストでマールボローのシャルドネが優勝するなど国際的にも評価も高い。
ニュージーランド産の特徴は栽培地域によって味や香りが違ってくること。例えばギズボーン産は柔らかなものが多く、あまり寝かさないでも飲むことができるが、ホークス・ベイ産はしっかりした酸味と豊かな風味があるため、数年寝かせると味が熟されると言われている。いずれにしても収量より品質を伸ばしたこれらの地域のシャルドネはマールボロー産以上の質を持っている。また多くのワイナリーで造られ、様々な味を楽しむことができる。
 

リースリング Riesling

 

甘口から辛口まで、幅広くバランスの取れた白ワインを造ることができるため、1990年代以降、安定した生産量を維持している品種だ。ニュージーランド産の80%以上が涼しい南島で収穫される。深みのある香りとさっぱりとした柑橘系の風味が特徴で、あまり寝かさないうちに飲むタイプの評判が良い。 


セミヨン Semillon

 

まだまだ国内では無名な存在だが、セミヨンを加えることで複雑な味と成熟さが加わるため、ソーヴィニヨン・ブランや辛口の白ワインにブレンドされることが多く、知らないうちに味わっている人も多いはずだ。品種や栽培方法の改良が行われて、今後の伸びが期待できる種類でもある。 


ミュラートゥルガウ Muller-Thurgau

 

ニュージーランドのワイン産業発展の柱石となった品種。1960年代、白ワインの需要が高まると同時にフルーティーで軽く、まろやかで甘いミュラートゥルガウに人気が集中した。しかしニュージーランド人の好みが辛口のワインに移り、生産過剰になったため減反策の矢面にたった。栽培面積が減少し第一位だった収穫量も減反策後は大幅に落ち込んでいる。 


マスカット Muscats

 

マスカットと言うと食用の葡萄を想像する人も多いかもしれない。単独でワインになることはめったにないが、フルーティーな香りが持ち味のためミュラートゥルガウや低価格のスパークリングワインにブレンドされることが多い。 


ゲヴュルツトラミナー Gewurztraminer

 

ゲヴュルツトラミナーはスパイスの香りが高く、個性の溢れるワイン。そのスタイルは完全に辛口で引き締まったアルザスのようなスタイルから、カリフォルニアのようなやや甘めのスタイル、遅摘みでスパイス味あふれるデザートワインまである。スパイスの要素以外にも、ゲヴュルツトラミナーは様々な果実、花、ナッツまでもが感じられる。この品種ほど穫りたての新鮮なブドウそのものの味わいや香りがワインとなるブドウはあまりないので、ゲヴュルツトラミナーを樽熟成する造り手もいない。ゲヴュルツトラミナーは食事との組み合わせが多様で、ポークや白身の肉を使った料理をはじめ、キッシュやアジアの料理にもよく合う。

黒葡萄品種

 

 

ピノ・ノワール Pinot Noir

 

ニュージーランド産の赤ワイン最高級種として名高い。栽培が難しい品種として有名だが、ニュージーランドの気候と風土にマッチしたようで、まろやかで口当たりの良いワインが生まれている。40%以上がマールボローで栽培されているが、北島南部、マーティンボロー地域のAta Rangi、Dry River、Martinborough Vineyardなどのものは世界的にも名声を得ている。
1988年にはたった729トンの収穫しかなかったPinot Noirだが、10年後には6倍以上が収穫されている。上質のものは3~5年寝かせるとさらに味が増すと言われている。 


メルロ Merlot

 

赤ワイン用の品種の中で急増しているのがMerlot。1998年の収穫高は3430トンで、10年前の約7倍になっており、現在でも増加傾向にある。いかに急成長したか分かるはずだ。カベルネ系品種より2~3週間早く熟されるのがメリットで、涼しい気候のニュージーランド向き。香りが豊かでフルーティーな味わいの高品質赤ワインが造られる。 


カベルネ・ソーヴィニヨン Cabernet Sauvignon

 

ニュージーランド産赤ワインの質の向上に貢献した品種。成熟が遅いため栽培地のほとんどが暖かい北島で、その内訳はホークス・ベイが約60%、ワイカト、オークランドなどが20%程度となっている。最近は成熟の早いピノ・ノワールやメルロに押され気味だが、それでも1998年の生産量は4220トンを維持している。
濃い色とタンニンが効いた渋い味わいが特徴で、飲む前に最低3年、理想を言えば5~10年寝かせてから味わいたい。オークランド・ワイヘキ島のGoldwaterやMudbrick Vineyardで造られるCabernet Sauvignonの品質の高さは誰もが認めるところ、各国のコンテストで賞を受賞している。

ニュージーランドのワイン産地

 

北のノースランドから南のセントラル・オタゴまで、ニュージーランドの主なワイン産地は10カ所。New Zealand Winegrowers によると2004年調べのワイナリー数は463軒に上っている。家族経営のブティックワイナリーが多いため、輸出量は飛躍的に増えているものの生産量が世界の消費量に追いつけない。そのためワインの国というイメージは定着していないが、各地で作られるさまざまなワインが数多くの栄誉ある賞を受賞しており、世界的評価はきわめて高い。

豊かな自然の恵みを受けて丁寧に醸造されたニュージーランド・ワインは、フルーティーで上品な味わいが特徴。その理由は、良質な土壌と気候にある。四方を海に囲まれた海洋性気候のニュージーランドは、1年の温度差が少ないわりに、1日のあいだに四季があるといわれるほど温度差がある。日中は日差しで暖かく、朝晩は海風で冷やされることが葡萄をじっくりと熟成させ甘みを増すのだ。また、ヨーロッパに比べてワイン作りの歴史が浅いため、伝統に縛られずに近代的な手法を取り入れてきたのも個性的なワインを作り上げた理由だろう。ワイン職人の真摯な努力と1人当たりの消費量が21本以上というワインを愛する国民が、ニュージーランドの良質なワインを世界中に認めさせたのだ。

主なワイン産地
オークランド
国内の五大ワインメーカーをはじめ、数多くのワイナリーが点在するワイン生産地。オークランドから北西に車で30分ほどのヘンダーソンやクメウ、フアパイは古くからの生産地として知られている。ハウラキ湾のワイヘキ島は、カベルネ・ソーヴィニヨンやメルロ、カベルネ・フランを使った上質な赤ワインを作り、ファッショナブルなワインエリアとして有名。オークランドの北のマタカナも赤ワインの産地として名をはせている。 


ギズボーン
世界で一番東にあるワイン産地。葡萄栽培地の半分以上がシャルドネで「NZのシャルドネの首都」と呼ばれている。近年では良質のゲビュルツトラミネール、ヴィオニエ、シュナン・ブラン、リースリングも生産されている。黒系葡萄は当地の生産量の10%以下しか生産していない。 


ホークス・ベイ
北島の東海岸、ホークス・ベイはマールボローに次ぐワイン産地として、国内外へワインを出荷している。中心地であるネイピアは美しい街並みでアールデコの町として有名だ。
ワイン造りにとって重要な要素が気候。ここホークス・ベイはカワケ山脈、ルアヒネ山脈の東側に位置するため、湿気を含んだ西風や雨雲の影響が少ない。そのため夏は高温、冬は温暖、年間を通して雨が少なく、乾燥した気候の中で十分に成熟した葡萄ができる。カベルネ・ソーヴィニヨンを中心に、ボルドースタイルのワイン造りが行われている。

マーティンボロー
北島の南端に広がるワイン産地。降水量が少なく乾燥しており、涼しい秋のおかげで上質なピノ・ノワールが育つ。フランスのブルゴーニュ地方に酷似した紀高を持っている。1997年ロンドンでのインターナショナル・ワイン&スピリッツ・チャレンジではマーティンボロー産ピノ・ノワールが金賞を受賞するなど、伸長著しい。 


ネルソン
南島の先端、少しくぼんだ海岸線に位置する。日照時間が長く、比較的気温が高い地域。主にシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブランを栽培し、秀逸なワインができる。ネルソンのワイナリーは市内から20~30分南下したリッチモンドとモウテレ地区に集中している。国内第七位のワイン生産地。ネルソンでは、寒冷地での栽培に向いた品種が主に生産され、特に有名なのが、濃厚なシャルドネ、ソーヴィニヨン・ブラン、リースリング、ピノ・ノワールなど。これらがブドウ畑の約80%を占める。 


マールボロー
NZ最大のワイン産地。年間日照時間は約2420時間とニュージーランドで最も長く、サンシャインシティの愛称をもっているほど。 ここで誕生したソーヴィニヨン・ブランがNZワインを世界に広めた。マールボローのワイナリーはブレナム市の近辺、通称ワイナリー街道とも呼ばれるRapaura Rd、Jacksons Rdに集中して多くのワイナリーがある。
昔、この辺りは川底だったため、丸石がゴロゴロした水はけの良い地形で、地下にはミネラルがたっぷり蓄えられている。日照時間の長さと、冬の適度にひんやりした気候など、ワイン用の葡萄を栽培するのに理想的な条件が揃っている 


カンタベリー
カンタベリーは二つの大きな地域でできている。一つは、1970年代後半に葡萄が初めて植えられたクライストチャーチ周辺の地域。もう一つは、近年急速に発展している地域で、クライストチャーチから北に車で1時間ほどのワイパラ。
南部の土壌は砂利層の上に沖積期の泥が堆積した肥沃土で、ワイパラの土壌は石灰岩を多く含む白亜質の肥沃土だ。期間が長く乾燥した夏、豊富な日照量、比較的涼しい気温という気候条件が両方の地域の特徴だが、ワイパラは低い丘により海岸線から隔離されているので多少気温が温暖になる。冷涼で乾燥した気候で、フレッシュなピノ・ノワール、シャルドネなどが造られている。 


セントラル・オタゴ
世界最南端のワイン産地。栽培されている葡萄の約半分が冷涼な気候に適したピノ・ノワール。
この地域は、国内の多くの地域が安定した海岸性気候にあるのに対し、昼と夜、また季節による寒暖の差が激しいという大陸的気候に近い環境にある。この地域でのワイン生産は、歴史は浅いが急速に発展しており、現在では国内第四位となっている。 




世界市場におけるニュージーランド・ワイン

 

ここ数年、世界市場でニュージーランド・ワインの評価はうなぎ登りだ。それは輸出量を見れば一目瞭然で、1988年にわずか289万リットルだった総輸出量が1998年には1500万リットルを超えるまでになっている。金額に直すと9760万ドルを超える取引が行われており、今やワインはニュージーランドの重要な輸出品として注目されている。赤ワインと白ワインの対比は、1対6と圧倒的に白ワインが多い。その分、世界市場において注目されているのは白ワインが多い。
輸出先の1位はイギリス。総輸出量の約半分がイギリスに買い取られている。2位は隣国のオーストラリア、3位はアメリカで日本は62万リットルで4位にランクされている。 


オーストラリア人ワインメーカーにとって魅力の地

 

近年のオーストラリアワインブームにより増加した同国内におけるワイン栽培者・醸造者は、現在は飽和状態にある。そして大干ばつだ。乞われて仕事に来たワインメーカーも一部は仕事にあぶれている。そこで新卒、転職組のオージー達が共に目を付けたのが、今後ますますの発展が見込まれている隣国ニュージーランド。
特に人気があるのはマールボロー地方で、冷涼な土地でワイン作りに挑戦できるという魅力だけではなく、そのライフスタイルに惹かれてこの地に定住する人も多いという。
クラウディ・ベイのティム・ヒース氏もその一人。昨年まで南オーストラリア・バロッサ・ヴァレーのマウントアダム・ワイナリーにてワインメーカーを務めていた。同氏は、「クラウディ・ベイという今や国際的ワイナリーで働くチャンスを得たことはもちろん誇りであるが、マス釣りやスキー、マウンテンバイクに乗って自然を楽しむなど、この素晴らしいライフスタイルを得ることができたことにも非常に満足している。ここには全てがある。」と語る。
またフラミンガムにてアシスタント・ワインメーカーを務めるサイモン・マイルズ氏は、マールボローでワイン関連の仕事に従事するオージーの多さに今でも驚きを隠せない。そして自身については、「もともと1ヴィンテージのみのニュージー滞在予定だったはずが想像以上の可能性を感じ、ここフラミンガムでポジションを得る事になった。軽い気持ちで小舟に乗ったつもりが、気付けば大漁だった。」と比喩を交えてコメントしている。成長著しいNZワイン産業、今後もこのオージーからの流入の傾向は続くと見られる。





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